念願の日本代表に! 豊田桂子/LG関東 2010.03
日本代表になり世界大会へ出場することは、ずっと追い続けてきた夢でした。一昨年のWU
SV予選では追及で初めてV評価を獲得するも得意の服従で失敗、防衛も点が伸びず8位。昨
年のIPO予選では3課目とも平均して高くも無く低くも無く・・・・の得点で7位。犬の素質は
申し分なく訓練練度も十分、代表入りを逃しているのは完全に指導手の力不足からでした。
アーチは今年7歳で、元気のいい作業が出来るのは恐らく今回がラストチャンス・・・・何が何
でも5位以内に入ってやるぞ!そんな意気込みで臨みました。そして終わってみれば何と総合
評価V、予選一位通過でWUSV日本代表の座を手にする事ができました。
シュッツ・IPOの訓練(以下シュッツ)は今の自分にとって最も楽しい趣味の一つで、こ
の話題を持ち出したら延々書き綴ってもキリが無いのですが(笑)、予選会で優勝するなど滅
多にあることではないので、この場を借りてシュッツ競技に対する思いを少しだけ書かせて頂
きたいと思います。
まず一番に願うのは、もっと沢山の方々がシュッツを楽しまれるようになって欲しい、とい
うこと。一般愛犬家には特に馴染みが薄く、その名を聞くのは予選会の時ぐらい。ですからど
うしてもシュッツ=世界大会と捉えられてしまい、「縁の無い別世界の話」と思われがち。確
かに世界大会はこの競技規定で行われますが、シュッツ試験の合格ラインは各課題70点以上。
そして実際に訓練をしてみると各作業の課題そのものは非常にシンプルで犬に優しい課目構成
と言えます。また、シュッツの訓練がある程度出来ていれば、その先はどんな分野の訓練にも
応用が利きます。今回優勝したアーチにはアジリティや災害救助も教えましたが、基礎にシュ
ッツ訓練をしていた為、どちらもスムーズに苦労無く覚えてくれました。世界大会の為のシュ
ッツではなく基礎訓練としてのシュッツ、そこから始めてはいかがでしょうか。まずは70点が
目標、それでも良いじゃありませんか。
また、シェパード犬という犬種においては特に、シュッツ課目はそれ自体が稟性テストの意
味を持つという事も重視すべきで、家庭的で温和なS犬普及の為に益々、当たり前にこの訓練
が行なわれるようになって欲しいと思います。
こんな感じで私はシュッツ訓練を捉えていますが、以前、訓練をされている方からこんな話
を聞いたことがあります。「シュッツは犬の良し悪しで勝ち負けが決まるから面白くない」
と。勝ち負けにこだわる人のいる限り、勝てなければつまらないという意見はあって当然で
す。しかしながら、犬の良し悪しで決まるという言葉は、あんまりです。残念としか言いよう
がありません。
どんな犬であろうが、どんな種目であろうが、そこで結果を出すにはそれなりの努力があり
ます。シュッツ訓練は特に、犬と人がお互い理解しあって初めて良い結果が得られるもので、
決して、犬が良いだけで勝てるという簡単なものではありません。むしろ、良い犬ほど難し
い!・・・・では逆に、犬の良し悪しが関係ない訓練とはどんなものでしょう?どんな犬でも同じ
ように仕上がる訓練?それはまるっきり、人からの一方的な押し付け訓練でしかないのではな
いでしょうか。
ちなみに、シュッツが犬の良し悪しで勝ち負けが決まってしまうものであるなら、今回のア
ーチの優勝は無かったでしょう。アーチは確かに良い素質を持ってはいますが、世の中必ず、
上には上が居ます。特に防衛作業での落ち着きとグリップの安定性では、もっと優れた才能を
持った犬達が居ます。
私がアーチの訓練で最も大切にしたのは、長所を伸ばし活かすこと。身体が小さく、それに
比例してマズルも小さい小柄なメス。どんなに頑張っても迫力と力強さでは牡犬に敵わないと
いうのは、最初から分っていました。ですから、持ち味のスピードを更に伸ばし、且つ小回り
を利かせた切れ味の良い元気な演技を常に心掛けました。防衛は特に、スピードを力に変え
て、突進力でカバーしている感じです。
今回服従課目でSV公認審査員から、出場犬中唯一のV評価を頂くことが出来ました。それ
は、アーチという犬を理解し長所を活かした訓練を評価していただけたからだと思っていま
す。シュトルベ審査員の仰る所の『ハーモニー』?ともかく、シュッツファンにとってこれほ
ど嬉しい事はありません。
最後になりましたが、見習い時代からシュッツ訓練に触れさせてくれた前田訓練所の勇先
生、勇太郎所長、本当にありがとうございました。最高の訓練犬達を担当させて頂いた経験
は、今後も大いに活用させていただきたいと思います。そして京都の益田先生、SV審査員合
格おめでとうございます!シュッツ道をひたすら突き進む姿勢は、シュッツファン皆の憧れで
す。日頃練習でお世話になっているジャパンシュッツフントクラブの皆様、防衛ヘルパーさ
ん、競技会で・練習で、いつも身近で貴重な経験談を聞かせて下さる堀内先生、追及苦手人間
から脱する手助けをして下さった九州の村瀬先生、皆様のお力添えあっての結果です。ありが
とうございます。アーチの父犬・ヴィコを日本に連れてきて下さった藤井先生、アーチを繁殖
し譲って下さった福山先生、良い犬と出会えた事を幸せに思います。お名前を全てご紹介でき
ませんが、日頃からアーチを応援して下さっている方々にも心よりお礼申し上げます。そして
今回、SV審査員を招いて素晴らしい予選競技会を開催して下さった日本警察犬協会様、大変
感謝致しております。世界大会でも犬の持ち味を活かした訓練を、元気良く披露したいと思い
ます。
読者の皆様、稚拙な長文に最後までお付き合い下さりありがとうございました。
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